知的財産権を侵害されたらどうする?対応方法について
2026/01/26
知的財産権とは、人間の知的創造活動によって生み出されたアイデア、デザイン、名称、著作物などの目に見えない財産的価値を保護するための権利です。
特許権、実用新案権、意匠権、商標権といった産業財産権のほか、著作権、回路配置利用権、育成者権などが含まれます。
今回は、知的財産権を侵害された場合の対応手順について解説します。
知的財産権を侵害された場合の対応手順
知的財産権が侵害された場合、次のような手順で対応してください。
証拠の収集と権利範囲の確認をする
知的財産権に侵害の疑いがある場合、客観的な証拠を収集し、ご自身の権利が本当に侵害されているのかを法的に精査することから始めます。
まず、侵害の事実を証明するための具体的な証拠を確保してください。
たとえば、侵害されている商品の現物を購入したり、販売されているウェブページのスクリーンショットを保存したりします。
また、パンフレット、カタログ、取引記録、展示会での配布資料など、侵害行為がいつから、どこで行われているかを示す資料を可能な限り集めます。
証拠収集と並行して、ご自身の権利範囲を正確に確認する必要があります。
特許権や商標権であれば、特許庁での登録内容を改めて確認し、現在の権利が有効であるか、また侵害されている対象がその権利の範囲に明確に含まれているかを分析します。
侵害した者に警告書・通知書を送付する
知的財産権侵害の事実が濃厚であると判断された場合、侵害者に対する警告書や通知書の送付を行います。
これは、侵害行為の中止を求めるとともに、正式な交渉の開始を告げる役割を果たします。
警告書は、原則として配達証明付きの内容証明郵便で送付するのが一般的です。
内容証明郵便を利用することで後に裁判となった場合、「相手は侵害の事実を知っていた」という悪意を証明する材料になります。
警告書に記載する主な内容は、侵害されている権利の特定、侵害行為の指摘、および侵害行為の即時中止の要求です。
さらに、在庫商品の廃棄、侵害行為によって得た利益の損害賠償、再発防止策の提示、そして場合によっては新聞等への謝罪広告の掲載などを求めます。
この書面には、定められた期限内に回答がない場合には、訴訟提起や刑事告訴といった法的措置を辞さない旨を明記し、相手に対して強い心理的圧力をかけます。
この段階で相手が侵害を認め、誠実な回答をしてくれば、裁判を回避して早期の解決が見込めるようになります。
タイトル
警告書を送付した後、相手方から回答があった場合は、具体的な解決に向けた協議に入ります。
知的財産権の侵害は、相手方が悪意を持って行っている場合だけでなく、他者の権利を知らずに、あるいは権利範囲の解釈を誤って行っているケースも多々あります。
そのため、いきなり裁判で争うのではなく、まずは話し合いによる和解を模索することも有効な選択肢です。
協議の場では、ライセンス契約の締結による対価の支払い、侵害箇所の修正、市場からの自主回収などの条件を交渉します。
また、当事者間だけの話し合いが難航する場合は、ADR(裁判外紛争解決手続)を活用することも検討してください。
民事上の法的手段を行う
協議やADRでも解決に至らない場合、あるいは侵害行為が極めて悪質で緊急を要する場合には、裁判所を通じて民事上の法的手段を講じることになります。
裁判において請求できるおもな内容は、以下の通りです。
差止請求
差止請求とは、現在行われている侵害行為の停止を求めるとともに、将来の侵害の予防を請求する権利です。
特許法100条、商標法36条、著作権法112条などに規定されており、故意や過失の有無を問わず請求できる強力な手段です。
また、侵害品の廃棄や、侵害行為に使用された設備の除却を求めることも可能です。
損害賠償請求
損害賠償請求とは民法709条や各知的財産法の特則に基づき、侵害行為によって被った経済的な損害の賠償を請求することです。
知的財産の損害額は算定が困難ですが、法律には侵害者が得た利益の額や、ライセンス料相当額を損害額と見なす等の推定規定が設けられています。
信用回復措置請求
侵害行為によって傷つけられた業務上の信用を回復するために、新聞への謝罪広告の掲載などを裁判所が命じることができます。
これらの民事手続きは、弁護士と密に連携し、膨大な証拠と法的な主張を積み重ねる過程となります。
刑事上の手段を検討する
知的財産権の侵害は、民事的な責任だけでなく、刑事罰の対象となることもあります。
侵害行為が故意に行われた場合、刑事告訴を行うことで、加害者に対して懲役刑や罰金刑を科すことが可能です。
たとえば、著作権法119条では、著作権侵害に対して10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科されることが定められています。
特許法196条などにおいても、同様に厳しい罰則が設けられています。
著作権侵害の刑事罰は原則として親告罪であるため、警察に告訴を行う必要があります。
まとめ
今回は、知的財産権を侵害された場合の対応手順について解説しました。
インターネットの普及により、知的財産権の侵害が露見しやすくなりました。
自社の権利を保護したい、またはトラブルが発生している場合には弁護士に相談することを検討してください。
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